市政の動き−議会報告
【23.07.09】森林環境税 来年度から一人あたり1,000円徴収
高所得者も低所得者も同じ税額では不平等
来年度から「森林環境税」として、ひとり1,000円を徴収する市税条例改定が、6月定例会に提案されました。森下さちこ議員は次の点を指摘し反対しましたが、賛成多数で可決されました。
新たに創設された「森林環境税」は、2024年度から、個人住民税均等割の枠組みを用いて、国税として1人年額1000円を市町村が賦課徴収するものです。
収入が1000万円を超える高所得者も、市県民税所得割が非課税の低所得者も税額は同じです。
応能負担という税の原則から外れるものです。
防災減災対策のための徴税が2023年度末に終了し、これに変わる税のため、納税者に新たな負担は生じません。
しかし、これまで市や県に入ってきた防災減災対策費各5100万円分が入らなくなり、すべて国に納めることになることになります。納税者の直接的な利益が大きく損なわれます。
使い方は自治体まかせ 約半分を基金に積立
森林環境税は、2019年度から交付が始まっている森林環境譲与税の財源を確保するものです。
使途を限定する国庫補助金であれば、事細かに使途を限定したうえで事業を審査し、事後のチェックも行うことができます。ところが、森林環境譲与税は使途が不明確です。
市町村は、間伐等の「森林の整備に関する施策」、「人材育成・担い手の確保」、「木材利用の促進や普及啓発」等の「森林の整備の促進に関する施策」に充てることとされています。
ところが国のまとめによれば、2019年度から21年度までの3年間で、全国の市町村に配分された森林環境譲与税約840億円のうち、47%にあたる395億円が十分に活用されず、基金に積み立てられています。
私有林人口林面積なし、林業就業者なしの安城市にも配分
2023年度の森林環境譲与税の配分基準は、都道府県と市町村で案分した後、私有林・人口林面積50%、林業就業者数20%、人口30%です。私有林人口林がなく、林業就業者もいない安城市にも、人口割で約1,900万円が入る見込みです。
森林環境税が始まれば、約620億円の財源となりますが、基金に積み立てられている現状から、本当に有効活用されるのか疑問です。
徴税ありきでなく、人材育成、担い手の確保、森林整備のための具体的な計画、必要予算を示すのが先ではないでしょうか。