市政の動き−議会報告
【23.10.23】文化芸術・スポーツが生み出す都市の魅力と発展
第85回 全国都市問題会議 in 八戸市に参加して
全国都市問題会議とは、地域共生社会の実現や持続可能なまちづくりなど都市問題や地方自治に関する課題について、自治体関係者と学者、研究者が理論と実際の両面から討議する会議で、毎年開催地が変わります。
今年は10月12日、13日の二日間にわたり青森県八戸市にて開催され、全国の自治体から市長・副市長・市議など約1800人が参加しました。私も両日参加しましたので報告します。（森下さちこ）
自治体の抱える課題
19万都市の安城市は、他の自治体同様に少子高齢化・人口減少と市街地の空洞化の課題があります。人口流出抑制対策として、工業団地の整備や民間企業の誘致等を実施し、働く場の創出に力を入れてきました。
2025年には三井不動産による「ららぽーと安城（仮称）」、翌26年には�螢▲ぅ轡鵑砲茲襦峪芦楼他觚鯲�拠点施設（アリーナ）」がオープン予定で、民間投資の活発な自治体でもあります。
こうした民間の力によるまちづくりが、安城市民の望むまちづくりになるのかという問題意識を持ちながら、会議に臨みました。
アートの力でまちを再生
安城市同様、八戸市は、車社会の発展、規制緩和に伴う商業施設の大型化と郊外移転、生活スタイルの多様化、消費行動の変容により、1990年代以降中心市街地の空洞化が進みました。 「アートの力で中心市街地を再生する」との明確なビジョンを持ち、�｜羶柑坡甲呂魎愎感�間にする。�▲侫薀奪箸淵灰潺絅縫院璽轡腑鵑両譴鯀呂襦��Ｃ楼荵餮擦硫礎佑鬚澆鵑覆埜�出す。の３点を柱に、アートプロジェクトが始まりました。
ひとりひとりの個性をつなぐ力をもつアートを利用したことにより、プロジェクトの現場では異なる立場の人たちの間にある壁が壊れ、対等に話し合い、異なる価値観を容易に認め合える空間が生まれたようです。
空洞化のまちに新たな施設
八戸市の「文化芸術推進基本計画」では、地域の固有性の追求、分野横断、社会包摂を指針として位置づけ、中心市街地には2011年ポータルミュージアムはっち、16年ブックセンター、18年まちなか広場マチニワ、21年八戸市美術館がオープンしました。
新施設は中心街にまとまり、それぞれに個性的です。マチニワの近くにあるみろく横丁は26の店舗が、互いの店内が見えるオープンな作りになっており、イベント時にはパフォーマーや大道芸人と一体になって楽しめます。アーティスト・外部人材の活用、専門家の育成により、人と人をつなげる、地域と地域をつなげる取り組みにより、中心街は平日でありながら多くの人でにぎわっていました。（写真はポータルミュージアムはっち）
スポーツによるまちづくり
市内には屋内スケートリンクYSアリーナ八戸（公営）と、半日でアイスリンクとバスケットコートに転換可能なフラット八戸（民営）があり、市民がスケートを日常事として楽しむ文化から、プロスポーツのアイスホッケーへと発展してきました。
他にもサッカー、バスケ、３×３の４種のプロスポーツの拠点となっています。プロチームはホームゲームの開催をはじめ、子どもたちや指導者の育成プログラムの実施など、市民と多様なかかわりを持っています。
新幹線八戸駅の駅西地区に建設されたフラット八戸は、市有地の無償貸付（30年間）と、地方創生推進交付金を利用し設備導入補助金の交付を行っています。
市が年間１億1000万円で2500時間賃借し、小学校等のスケート授業や部活動、アイスホッケーやフィギュアスケート市内競技団体の練習場、合宿、大会等に利用しています。
市民をまきこみ、関心事に
学校教育の中に八戸の伝統芸能「えんぶり」や、氷都八戸象徴のスケートが組み込まれており、郷土愛の育成に取り組む姿が見えました。港町であり、よそ者を受け入れるだけの懐もあります。まちづくりも外部の意見を取り込み、地元の魅力を上手に混ざ合わせ新しいものを作り出す力があるので、一時期は活気を失った中心街も、「停滞しない」動きのあるまちになっていると感じました。
地元の人がまちづくりを我が事とすること、地域経済だけでなく、お金では計算できない人と人とのつながりやプロセスを大事にするという姿勢が印象的でした。
