市政の動き−議会報告
【22.10.09】公契約条例制定で適正な労働条件の確保を
受注者の従業員賃金調査は年3件のみ
公共事業は多岐にわたりますが、公共工事や物品購入、公共サービスの業務委託など、行政組織のみで賄うことができない事業は行政が発注し、民間事業者と契約し対応しています。これを公契約と呼びます。
2021度、市が発注し、民間事業者と入札契約した事業は648件、そのうち役務契約が284件でした。
入札では価格競争によって、最も安価な事業者が落札することになります。 受付案内や駐車場管理など、事業内容が主に人件費である場合、最低賃金が入札時の想定よりも大幅に引上げられると受注者が労働者の雇用環境を犠牲にすることが懸念されます。
市は、受注者が雇用する従業員の賃金などについて、「予定価格1000万円以上の業務から選定し、報告を求める」ことで「最低賃金以上の金額で雇用していることを確認している」と答弁しました。
しかし過去3年間では、調査対象業者は毎年3件で、これでは全体をつかんでいるとはいえません。
従業員からは最低賃金は引上げられたが「勤務時間が削られ、賃金は増えない」との声も寄せられています。
契約期間・内容の変更も可能だが実際は
安城市委託契約約款には第24条「契約期間の変更」及び第25条「契約金額の変更」が規定されています。
いずれの場合も発注者と受注者の協議により変更が可能ですが、実際に「最低賃金の引上げ」による契約変更の協議申出があるのか。また、申出をせず、利益確保のため業務の質を落としていないか、明確な回答はありません。
公契約について主に労働者の賃金条件などを定めたのが公契約条例です。 2021年3月までに県内で公契約条例を豊橋市と豊川市の2市が、基本条例を碧南市など8市町が制定しています。
安城市も公契約条例を制定し、「適正な労働条件の確保」と「経営環境の改善」、「適正な入札等の実施」が可能な環境を整え、公共事業の品質確保と住民福祉の増進を図ることが必要です。