市政の動き−議会報告
【24.01.21】「三河安城交流拠点・アリーナ」寄附受け入れの問題点は？
森下さちこ議員が一般質問
(株)アイシンは、自社が建設する「三河安城交流拠点・アリーナ」（以下、アリーナと呼ぶ）を安城市に「負担付き寄附」したいとの要望書を提出しています。日本共産党の森下さちこ議員は12月市議会で、市民から寄せられている疑問・問題点等について一般質問しました。
市設置の「検討審議会」 傍聴者にさえ資料提供せず
安城市は、「アリーナの負担付き寄附」に関し、「市へのメリット・デメリット」「スキームの評価」「市民が得る利益」を審議するため「三河安城交流拠点検討審議会」を設置しました。
審議会を傍聴した森下議員は、傍聴者へ資料提供されないことや、市民や議会への説明も制限されている状況を踏まえ、議案が上程される3月議会までに必要な情報が提供されるのか質しました。
市は、審議会資料について「計画主体である�螢▲ぅ轡鶺擇咼掘璽曄璽校芦�(株)との協議途中の事項が多くある」ことを理由に現時点では不開示とし、「計画主体と協議の上、できる範囲で速やかに公開することを予定している」と答弁しました。
一定の波及効果ある一方 、固定資産税等は徴収できない
アリーナの建設による経済波及効果は197億円で税収効果は1億3000万円、施設運営による波及効果は年間16億5000万円で税収効果は1300万円と答弁しています（12月市議会）。
民間施設であれば固定資産税と都市計画税が課税されますが、寄附を受け入れ公共施設となると課税できません。
森下議員が、寄附を受けず民間施設である場合の課税額を質したのに対し、「施設の詳細についての情報がないため、市では算定できない」と答弁。その上で、�螢▲ぅ轡鵑�23年６月時点で試算した固定資産税等は「合わせて約１億７千万円」と答弁しました。
土地（アイシン所有）にかかる固定資産税（約2200万円）は、アリーナが公共施設になることに伴い、賃借料として相殺される可能性もあります。
市民にとってメリットある施設？ 「審議会で検証中」と答弁
アリーナの建設は、市民の要望からでてきた話ではありません。
森下議員が、安城市民にとって必要な施設と認識しているのか質したのに対し、「民間主導で始まっており、本市の行政計画に位置付けられたものではない」と施設の必要性を否定しました。
そのうえで「負担付き寄附の申し出を受け、その適否の検証のため、三河安城交流拠点検討審議会を設置し、市民にとってメリットが大きい施設となり得るかという考えのもと、現在、審議会で検証している」と答弁しました。
民間企業が、自社のバスケットボールチームをBリーグで活躍させたいという「夢」を実現させたいのであれば、これまでに培ったノウハウで収益をだし納税する。大手グループ企業としての社会的責任を果たすことが筋ではないでしょうか。
市民の施設利用は後回し 「まだ決まっていない」
施設利用に関しては、アリーナがプロバスケットボールチーム「シーホース三河」の本拠地となることから、「Ｂリーグの試合が年間30試合ほど開催される予定」「他のプロスポーツの試合やコンサート、コンベンションなど様々なエンターテイメントの場としての利用も想定される」と答弁しました。
一方、市民の利用については「日常的に利用できる施設となることが望まれるが、現在のところ何も決まっていない」と、後回しにされていることが明らかになりました。
大丈夫か！ 試合開催日の交通渋滞対策
森下議員が、試合開催日における三河安城駅周辺の交通渋滞対策を質したのに対し、「自動車での来場者は約６割と想定。市内の(株)アイシンの各工場駐車場からシャトルバスを運行し、三河安城周辺の自動車の集中を避ける計画」と答弁しました。現在、シーホースの試合が行われているウイングアリーナ刈谷は、観客席が安城の半分以下の2376席でも渋滞が発生しています。今の計画では大渋滞の発生が懸念されます。
