市政の動き−議会報告
【21.12.19】災害時、障がい者や高齢者のいのちを守る取り組みを
森下さちこ議員が一般質問
東日本大震災から10年が過ぎました。毎年、各地で地震、台風、豪雨、浸水とさまざまな災害が起きています。災害で亡くなられた方の多くは、高齢者や障がい者など日常生活においても支援や配慮を必要とする人でした。
森下さちこ議員は12月2日の一般質問で、避難行動要支援者の防災について取り上げました
個別避難計画作成は 自治体の努力義務
安城市では一人暮らしの高齢者や重度の障がいのある人など、日常においても支援を必要とする避難行動要支援者の名簿を作成しています。
2021年5月、国は要支援者の個別避難計画を作成することが災害から命を守ることに有効であると判断し、災害対策基本法の一部を改正しました。
それにより、要支援者について個別避難計画を作成することが市町村の努力義務とされました。
安城市ではこれまで災害の大きな被害報告がありませんが、南海トラフ地震の心配もあります。
森下さちこ議員は「ひとりでも多くのいのちを守るために最大限の努力が必要だ」と、個別避難計画作成を進めていくための課題を問いました。
関係機関との協力体制構築と優先度の判断が課題
質問に対し、「約5500人もの要支援者を避難行動要支援者名簿に登録していること、情報提供に同意された約8割の要支援者の避難場所や地域支援者などを記載した『個人台帳』を作成している」ことを紹介し、「この個人台帳に、今回の改正内容に適合するよう、避難経路や避難支援の実施者などを加えて、個別避難計画に発展させたい」と答弁しました。
また、実効性のある計画とするための課題として、「地域の民生委員や自主防災組織のほか、ケアマネージャーなど福祉専門職との協力体制をいかに構築するか」「計画作成の優先度をいかに判断するか」の2点をあげました。
優先度が高いと判断されるものについて、「『地域的な状況』では、ハザードマップ等において、浸水などの災害が想定される地域に居住する場合など、『要支援者本人の状況』では、本人が重度の障害や介護度が高い状況にあるものの、ひとり暮らしなどのため、避難時に家族などの介助が得られず、支援の必要性が高い場合などが想定される」としました。
避難行動要支援者の避難訓練 地域住民の協力が必要不可欠
避難行動要支援者が実際に避難をする際に、どのような支援と、何人の支援者が必要であるのか体験する避難訓練は、個別避難計画を作成する上でも有効です。
要支援者の避難訓練実施は、当事者、行政、福祉分野、地域住民が協力をしなければ実現できないことですが、当事者からも避難訓練を実施してほしいとの声も出されています。
市は「要支援者が災害時に避難するには、自主防災組織等の地域住民の協力は不可欠であり、事前に訓練を実施することは重要」との認識を示しながら、「自主防災組織は、市が作成した『避難行動と避難所開設・運営の手引き』を参考に、大規模災害の発生に備え、要支援者への対応方法や、支援体制づくり、避難行動等の訓練に取り組んでいただいている」と答弁しました。
避難行動要支援者名簿を活用し、避難訓練情報の周知を
自主防災組織が行う避難訓練の情報は、町内会の回覧板で回ってくる程度であり、町内会未加入者へは情報が届いていないこともあります。
要支援者の中には、身体が不自由で町内会の行事に参加できないなど、様々な理由で町内会に加入されていない方も居ます。地域になじまなかった人の避難訓練を、自主防災組織にお願いしておくだけでは、自力で参加できない要支援者は、なおさら訓練に参加できないのではないでしょうか。
発災した場合、実働部隊となって動くのは地域住民で、要支援者とともに避難をするのも地域住民です。
避難行動要支援者名簿は民生委員、自主防災組織、町内会に提供されており、町内会の加入如何に関わらず、情報は共有されています。
要支援者を含めた訓練ができるよう、自主防災組織が避難行動要支援者名簿登録者に案内等を行うことはできないのかとの問いに、「引き続き自主防災組織の協力をいただき、進めていきたい」と答弁しました。