市政の動き−議会報告

【22.07.24】〔介護保険〕 次期計画に向け負担増・給付抑制を検討

財制度審議会が建議

 財務相の諮問機関である財政制度審議会は5月、第9期(2024〜26年)介護保険制度見直しに向けた建議を財務相に提出しました。
 介護保険利用料の原則2割負担や要介護1・2の訪問介護・通所介護の保険給付外しなど、負担増や給付抑制となる重大な内容が含まれています。

利用料を「原則2割負担」に

   現在、介護保険の利用料は、ほとんどの人が1割負担(一定以上の所得の人は2割、現役並の所得の人は3割)です。
 この1割負担を「原則2割負担」に引き上げることが狙われています。
 審議会は、引き上げる理由を「介護保険制度の持続可能性を確保するため」としています。
 しかし、制度が維持できたとしても、高齢者が介護保険を利用できず放置されたり、介護のために離職しなければならないことなど、あってはなりません。
 物価が高騰しているなかで年金が削減され、高齢者の暮らしはますます厳しくなっています。
 現在でも利用料を抑えるために必要なサービスでさえ利用していない高齢者が多くいます。
 このようななかで、利用料を2割に引き上げることは、介護保険制度の崩壊につながりかねません。

ケアプランの有料化

   ケアプランとは、介護保険サービスを受ける際に利用者の状態や要望に合わせて作成される介護サービスの計画書のことです。
 財政制度審議会も認めているように、ケアプランの無料制度は、「要介護者等が積極的にサービスを利用できるようにするため、利用者負担をとらない取扱いがなされてきた」のです。
 有料化により、「介護保険制度の入り口にたどり着けない人、介護サービスを受けない人が増えるのではないか」「高齢者の状態は変化しやすく、ケアマネが入らなければ、生活の質の低下や虐待を見逃す危険がある」などの懸念が出されています。
 このような「ケアプラン有料化」は、中止すべきです。

要介護1・2の介護保険外し

   要介護1〜5に認定された高齢者のうち、1・2の訪問介護と通所介護を介護保険の給付から外し、市町村が行う「総合事業」へ移行することを提言しています。
 すでに2018年から要支援1・2は、総合事業に移行されています。
 しかし、介護報酬が低いことなどから、計画通り進んでいないのが実態です。
 要介護1・2は、決して軽度ではありません。
 認知症高齢者の場合、食事や排泄などは自立している一方、「見当識障害」や「記憶障害」があっても要介護1・2に認定される場合があります。
 要介護1・2を総合事業に移行した場合、デイサービスの利用が制限されて、認知症高齢者の徘徊が増え、行方不明者が続出することにもなりかねません。
 交通ルールが認識できなければ、交通事故に合う危険性もあります。
 要介護1・2は軽度ではありません。保険外しは中止すべきです。

軍事費2倍でなく社会保障に予算を

   この他にも「老健施設や介護医療院などの他床室の部屋代を自己負担にする」ことも提言されています。
 これらが実行に移されれば、益々、「保険あって介護なし」に変質することに。
 「軍事費を2倍にするのでなく、社会保障や教育にこそ予算を!」の声を大きく広げましょう。

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