市政の動き−議会報告
【24.01.14】核兵器禁止条約への参加を!
世界は核兵器のない平和な世界を求めている
12月安城市議会に、愛知県原水爆被災者の会(愛友会)から「日本政府に核兵器禁止条約への参加・調印・批准をもとめる意見書提出を求める請願」が提出されました。
審査を付託された総務企画常任委員会では「参加国が少ない」「国の外交や防衛、安全保障に関することは国の専管事項」等の意見が出され不採択に。森下さちこ議員は最終日の本会議で、請願を採択するよう討論しましたが、反対多数で不採択となりました。
総務企画常任委員会において、愛知県原水爆被災者の会副理事長の大村義則さんは、請願が採択されるよう次のような陳述をしました。
参加国は国連加盟国の過半数・97か国に
私の父は、戦前、陸軍に徴兵されて長崎で被爆しました。私自身は被爆二世です。
2021年1月22日に核兵器禁止条約が発効し、まもなく3年を迎えます。現在、批准国は69か国。調印を済ませているが、まだ国会による批准の手続きがとられていない国を合わせると97か国で、193か国の国連加盟国の過半数を突破する勢いです。
さらに、12月の国連総会では、すべての国連加盟国に核兵器禁止条約への参加を訴えた国連決議が123か国の賛成で採択されました。残念ながら、我が国政府はこの決議にも反対をしております。表向きは「禁止条約は核保有国と非保有国の溝を深めるから問題だ。日本は、この溝の橋渡し役で核廃絶をめざす」と言っていますが、世界では、この理屈が、もはや通用しなくなっています。
「市民社会の運動で動かして」と特命全権大使
私は、ニューヨークの国連本部で開催された第2回核兵器禁止条約締約国会議にNGО代表団の一員として参加してきました。
オブザーバー国も含めて94か国の政府代表が参加したのですが、被爆国・日本の政府がオブザーバーですら参加していない事に、一様に驚きと疑問の声が出されていました。
ある国の政府代表が、「日本は核廃絶を主張する一方で、国連総会では核保有国と足並みをそろえて投票している。日本の戦略を説明してほしい」と発言する一幕がありました。
会議に招かれて出席していた広島県の湯崎知事が、「私たちも当惑している。日本政府がそうした矛盾から抜け出し、少なくともここにオブザーバー国として来て議論し、最終的には禁止条約に署名・批准することを望んでいる」と答えていた事が印象的でした。
ニューヨークにある国連代表部事務所にも訪れ、特命全権大使の志野大使と話をしました。大使は、「核保有国を市民社会の運動で動かしてほしい。そうすれば日本政府のオブザーバー参加ができる」と言われ、まるで、外交の現場で日本政府の抱えている矛盾の解決の方策を、市民運動の動きに期待するかのような事を言われました。
地方自治体から声をあげる
私は、その動きの大きな一つが、全国の地方議会での意見書の提出だと思います。全国1788自治体議会のうち、11月2日現在で、671議会が意見書を提出しています。
安城市長も加盟している平和首長会議の会長である松井広島市長は、今年の8月6日の平和記念式典で平和宣言を述べられたが、岸田首相を目の前にして、ウクライナでの戦争を念頭に、「核による威嚇を行う為政者がいるという現実を踏まえるならば、世界中の指導者は、核抑止論は破綻しているということを直視」する必要があると述べ、日本政府に一刻も早く核兵器禁止条約の締約国となるよう求めました。
国の専管事項と言われながらも、都市市民の平和と安全を守るためには、「核なき世界を求める外交」について地方自治体も黙っていないという流れが大きくなっています。
被爆者である私の父は、「戦争はいかん。原爆は絶対にいかん」と言って、2年前に97歳で亡くなりました。このような思いでいる全国の被爆者の願いを、どうか受け止めてください。