市政の動き−議会報告
【24.08.04】春日部市庁舎建設事業に112億円
総務企画常任（委）が行政視察
7月22日（月）から24日（水）までの3日間、安城市議会総務企画常任委員会は、安城市政の課題解決にむけ、埼玉県春日部市の新庁舎、茨城県水戸市の市民会館、群馬県太田市のオープンハウスアリーナ太田を視察しました。森下さちこ委員の春日部市庁舎についての報告です。
安城市と同様の課題を抱え
埼玉県春日部市の新庁舎は、2024年1月4日に開庁しました。
東日本大震災により被災した旧庁舎（1970年築）は、安城市庁舎と同様に、老朽化、分散化、狭隘化、そして耐震性の問題を抱えていました。
2013年に実施した本庁舎耐震化の方向性検討のための市民アンケートでは「移転建替え」を望む回答が81.5％にのぼり、2014年の有識者会議において、「移転建替え」の方向性を決定しました。
移転先は旧市立病院跡地
移転先として1万�岼幣紊了塒�地８か所で比較検討をした結果、地盤や液状化等の安全性、交通利便性、既存施設の活用等の優位性が認められ、2017年、基本計画の中で旧市立病院跡地を移転先として決定しました。
将来的に建替えが必要となる場合は、この３つの施設を回転させていくことが可能となっています。
建設場所は白紙状態（安城市）
安城市では、庁舎の在り方についての検討会において「庁舎建替えが望ましい」との考えが示されています。
建替えをする場合、どこに庁舎を建設するかは大きな論点となります。
敷地面積、市街化区域、市有地、災害時での安全性、交通利便性といった様々な要件を満たす用地が必要となります。移転させるのか、移転建設できるだけの充分な用地があるのか、現在の場所で市民会館や安城公園を含めた一体で整備をしていくのか等、一からの検討が必要です。
物価高騰で事業費は倍増
市民アンケート等を実施した際に市民に示された春日部市本庁舎整備事業費は43億円程度でした。その後、円安による物価高騰、資材高騰、人件費高騰等による影響を受け、実際の整備事業費は112億9000万円となりました。
事業費が倍増したことについて、情報を公開し丁寧に説明をすることで、市民の理解を得たとしています。
事業費の9割に、公共施設等適正管理事業債（市町村役場機能緊急保全事業債）を活用し、その他1割については、森林環境譲与税や施設整備基金の活用をしています。クラウドファンディングで市内企業や市民から約5500万円を集め、庁舎出入口付近には寄付者のプレートを飾る壁もありました。
安城市の3月議会答弁では、新庁舎建設と現庁舎の解体にあたり240億円程度が必要になる旨の答弁がされています。
庁舎建設はどこの自治体でも大規模な事業となり、既に整備基金の積立も始まっている本市は、まずは住民への情報提供と意識調査の必要があると考えます。
水戸市庁舎の建設経過と概要
翌日、茨城県水戸市の市民会館視察前に、2019年1月に開庁した水戸市役所を個人で訪れました。（視察先の市民会館については、次号で報告します。）
水戸市は2011年の東日本大震災で震度6弱の揺れが観測され、同じ敷地に建てられていた市庁舎と市民会館が大きく被災し、使用停止となりました。被災後、新庁舎完成までの約7年間、市役所がなく、市内のあちこちにプレハブを建て、機能を分散させ事業継続をしていたと聞き、心底驚きました。
震災からの復興4大プロジェクトとして、市庁舎185.9億円、えこみっと（清掃工場）356億円、アダストリアみとアリーナ95.7億円、市民会館192.4億円の計832億円の事業が計画されました。隣接していた市民会館を移転させ、敷地内に市庁舎のみが建設されました。
春日部市庁舎との違い
春日部市：市民活動などの支援機能併設
水戸市：行政機能特化
春日部市庁舎の基本理念は「人に優しく、災害に強い、市民に親しまれる庁舎」。全国の新庁舎整備事業にみられる傾向ですが、コモンスペースとしてイベント開催が可能なまちなか広場や、レストラン棟、コミュニティー棟など、市民活動を支える機能も併設されていました。
一方、水戸市庁舎は敷地面積2万4000�屐�延床面積4万�屬犯鷯錣紡腓�く、本来の行政機能に特化した施設のようでした。市民の集えるような施設でないのであれば、ここまで大きな庁舎が必要なのかと疑問に思い、庁舎建設事業は適正な機能、規模、事業費を見極めることの重要性をあらためて認識しました。
